いつまでも学ぶ心と社会に目を向ける努力を忘れずに
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本日ここに卒業式を迎えられた皆さん、おめでとうございます。津田塾大学在学中の数々の思い出を胸に、未来への先導者として巣立って行かれる皆さんを、心から祝福したく存じます。
皆さんが卒業されるこの日、津田塾大学の伝統と理念をもう一度、思い起こしてみることには意味があると思います。津田塾大学の前身である女子英学塾が最初の卒業生、つまり第1期生8 人を世に送り出したのは、いまからちょうど102年前、1903年4月2日のことでした。梅子先生はそれから約20年にわたり塾長として卒業生を世に送り出されたのですが、記録に残っている梅子先生の卒業式式辞の中に、卒業生にどのような期待をかけられていたかが示されています。当然それは在学中に学生が身につけてほしいと彼女が願っていたことでした。その大きな部分が、いまの皆さんに期待されていることと重なるのではないでしょうか。梅子先生が卒業式にあたって語り続けられたことをまとめると、次の2点になるでしょう。
1.生涯、学び続けること、つまりたゆまず自己を向上させる努力をすること。それも、単に知識を得ることではなく、しっかりした精神力を備え、自分で考え、判断できるようになること。塾でめざしたのは、卒業後も「考える力」となる教育でした。「[私たちが]力点をおいてきたのは、皆さんが学んだことの量でもなければ、読んだ本の難しさでもありません。私たちは、皆さんが細心にして正確な思考の能力をつけるよう願ってきました。皆さんが単に学ぶだけではなく、これからさらに学び、考えることができるように、とのねらいからです。」(1910年の式辞)
2.塾で自分が得たものを社会に出て分かち合うこと。つまり社会に貢献すること。「撒かれた種子は実をつけなければならないことを心得てください。受けたものは、これに何かを付け加えて他の人たちに伝えていくべきことを。」(1906年の式辞)
「自分に欠けているものを認識し、受けた教育の価値が認められ、尊敬に値する人になるよう努力してください。そして多くを受け取った者は、多くを他人に与えなければならないことを知っていてください。これらのことを、たとえ部分的にでも、なしえたなら、皆さんは他の日本の女性の権利と名誉への道を拓くことになるでしょう。」(1915年の式辞)
このような梅子先生の熱い願いは、津田塾大学に今も生きています。梅子先生の教育理念が現代性をもつということは明らかです。最近の女性の地位は100年前とは格段の違いです。男女共同参画社会基本法が施行され、自立した女性が社会で活躍している姿を私たちは当たり前のように眺めています。津田塾大学の卒業生の各方面での活躍ぶりはめざましく、私たちを勇気づけてくれるものです。しかし、この状態が生まれた背後には、道を拓いてくれた先輩の努力があったのです。当時に比べて社会や職場が女性にとって公平になった今も私たちが忘れてはならないのは、後に続く人のために道をさらに長く、さらに平坦にする努力です。
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もちろん、職業を持つこと以外にも社会に貢献する道はあります。どのような形であれ、私たちは社会に生きている—つまり一人で生きているのではなく他の人びととともに生きている—のですから、どのような立場にあっても、身の回りのことから広い社会全体のことを考え、自分を何かに役立たせることはできるのです。それは同時に「学び」の道でもあります。
皆さんが、これからどのような道を歩まれるにしても、学ぶ心と社会に目を向ける努力を忘れずにいてくださいますように、そして津田塾大学の卒業生であることを「誇り」に思ってくださいますように、願っております。ご活躍をお祈りいたします。
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