多摩地区にある国際基督教大学、国立音楽大学、武蔵野美術大学、東京経済大学、津田塾大学の5大学が結成する大学協力機構、多摩アカデミックコンソーシアム(TAC)の学長会議に出席いたしました。TACでは学生だけでなく、教職員の交流も活発です。
早稲田大学創立125周年記念世界学長会議に出席いたしました。世界の約30ヶ国および日本の大学の学長がラウンド・テーブルでいろいろなテーマについて話し合いました。
外務省欧州青年日本訪問団30人が本学を訪問、挨拶をいたしました。欧州からいらした皆さん、講演会やディスカッション、サークル紹介などの行事を通して、津田塾の学生との交流のひとときを楽しまれたことと思います。
![]() 挨拶をする飯野学長 |
![]() 学生とディスカッションをする訪問団参加者 |
キャンパスで開催された津田梅子記念会、ホームカミングデーの各種プログラムに参加しました。数多くの同窓生にご来校いただきありがとうございました。
当日のプログラム
11:00~11:10 学長・同窓会長挨拶
11:10~12:00 津田梅子記念礼拝 説教:アンドレ・ラベル氏(カトリック ラ・サール会 函館修道院長)
12:00~12:20 第8回高校生エッセー・コンテスト最優秀賞受賞者表彰式
14:00~15:30 創立110周年記念講演会「「女性たちのさらなる飛躍を願って」
講師:ベアテ・シロタ・ゴードン氏
(元GHQ民生局員で日本国憲法の起草に携わる))
上記プログラムの他、同窓会が開催されました。
また、第8回を迎えた高校生エッセー・コンテストの表彰式も行われました。今回は国内外から668編もの応募があり、選考の結果、東京都立府中高校2年三沢恵利子さんが最優秀賞に選ばれました。表彰式終了後には、三沢さんのエッセーを朗読していただきました。
高校生エッセーコンテストの詳細はこちら
![]() 当日は快晴でした |
![]() 受付の様子 |
![]() 飯野学長の挨拶 |
![]() 江尻同窓会会長の挨拶 |
![]() アンドレ・ラベル氏による説教 |
![]() ラベル氏とともに |
![]() ベアテ・シロタ・ゴードン氏の講演 |
![]() 20周年同窓会で挨拶 |
![]() エッセー・コンテスト表彰式 |
![]() 最優秀賞の三沢さん、コンテスト委員長の早川先生とともに |
リベラル・アーツ教育の実践-津田塾大学の例
日本私立大学連盟 『大学時報』 No.316 (2007年9月)
1 「女子英学塾」の教育理念
1900年9月14日、東京・麹町一番町のささやかな校舎で、津田塾大学の前身、女子英学塾の開校式が行われた。創立者で塾長の津田梅子は、開校式式辞の中で、塾を開いた理由と塾の目指すところ、つまり教育に必要なものとして次の3点を強調している。
2 リベラル・アーツ教育の継承-「即戦力」にとどまらない力
この4つの柱がリベラル・アーツ教育の実践として、創立者の教育理念をはっきりと継承していると言えよう。これらの柱のどれが欠けても、効果的なリベラル・アーツ教育は実現できない。
また、津田梅子の教育理念では、リベラル・アーツ教育によってリーダーシップが育まれる、つまり、リベラル・アーツ教育を受けた女性は、社会におけるリーダーになる力をもつと考えられた。
本来、古代ギリシャ・ローマの民主制の時代には、自由市民は、自由をもつと同時に、知力、体力、統率力、競争力などに優れ、さまざまな責任を負っていた。つまり全人的に優れていることが要求
されたのであり、このような人になるための学問がりベラル・アーツであった。リベラル・アーツは、当時の社会においてはエリートになるための学問であったのであり、津田梅子が目指したのは、
まさにエリート教育であった。
現在では、文字どおりのエリートを育てるというよりも、社会に貢献できる力をもつという意昧でのリーダーと考えるべきであろう。21世紀の多様で複雑なニーズに応えて、社会に貢献する、
社会のリーダーになるために必要な、しっかりした人間力は、このような教育によって得られると考えるのである。
本学の教育の柱の(2)「世界に向けての知の発信力」と(3)「国際的に活躍・行動するための英語力とコミュニケーション能力」は、英語あるいは他の言語を学び、それを用いて自分の学んだことを
発信するための力である。いろいろな人々とコミュニケーションを図ることを目指す学生にとってこの能力は必須である。
英語を例にとると、本学でも、他の教育機関と同様、一年次から、読む、書く、聞く、話す、の4つのスキルの訓練を徹底的に行っている。しかし、英語を身につけることだけが最終目標であっては
ならない。英語力であれ、高度な専門知識であれ、実用性をもつ、すなわち社会に出て「即戦力」になる、だから重要だということにとどまるべきではない。言語を習得することで思想や文化を学ぶ、
つまり視野を広げることが可能になる、また、さまざまな学問を通して、ものの見方、考え方を学ぶ、そこが重要な点なのである。大学で覚えた英単語の数、読んだ本の数、得た知識や技術の量だけが
社会に出て役立つわけではないはずだと私どもは考えている。
3 リベラル・アーツ教育の実践例
このような理念に基づいて本学で実施されている特色ある科目の例を、ここでは二つ挙げたい。
(1)「総合」
「専門分野で完全になることに努めるall-round womenをつくるのに必要な他の事柄をないがしろにしてはならない。世間一般のことを知り、他の分野のことに接するよう努めていただきたい」
という創立者の言葉にある方針は、建学時から外部の講師を招いて行われる多様なテーマでの講演となって学生に示された。この伝統は1978年以降は、「総合」という授業において引き継がれている。
この授業は、年度ごとに、現代において重要な、あるいは身近な問題をテーマとして選び、毎週異なる講師を招いて行われるが、これまで多様な、そして先駆的なテーマが扱われてきた。
例えば、「エコロジー」はいまでこそ耳慣れた話であるが、この授業では1984年にテーマとなっている。また1991年のテーマ「共に生きる」は、90年代末から注目され始めた「共生」を先どりした感がある。
ちなみに2007年度のテーマは、「現代社会は人を幸せにするか」である。
この授業のもう一つの特色は、テーマの企画・設定に始まり、講師を依頼するところまで、学生が中心になっている点である。このような企画、運営、実施に実際にかかわることによって、
学生は自主的に考え、行動し、リーダーシップをとることを学ぶと期待されているのである。
(2)「健康余暇科学」
これは、2007年度の例では、「健康教育」「動きの教育」「余暇教育」「ウェルネス研究」「リラクセーションとレク活動」の5つのコースからなり、「自己および地球レベルの幅広い健康や余暇の問題に
関心を払い、社会に貢献し得る人材を育成する」ことを目指すとされる。これはまさに、津田梅子の唱えたるall-round women育成の一環である。本学では、創立10年後には校舎と寄宿舎のある敷地にテニス
コートが造られ、校舎が全焼した関東大震災の翌年(1924年)には仮建築の校舎とともに雨天体操揚も建てられた。心と身体両方の健全な成長が期待され、人間の生命の質の向上を目指して、さまざまな角度
から広く健康の問題を扱う教科を必修科目と位置づける伝統が、初期に明確にされたのである。
現在は、上記の5コースの中で、社会精神医学、世界の身体文化表現論、レクリエーション教育など多様な授業が提供されている。学科によって必修または選択必修と位置づけられるコースや自由科目とされ
ているものもあるが、健康とは何かを考えることをall-round women育成の一端と見なす長い伝統は守られていると言えよう。ヘルスケア及びウェルネスに関する情報を発信し、この面での学生支援に携わる
ウェルネス・センターの活動も、この科目の提供と呼応している。
4 おわりに
最近は、IT技術などの進歩とともにグローバル化が進展し、世界は、一見すると、画一的な価値観を共有して小さくなっているように思われる。しかし他方、社会は多様化し、複雑になり、私たちは異なった
価値観をもつ人々と共に生きていることを、日々実感している。世界には、多様な価値観がぶつかり合い、生命の危険を伴うような深刻な問題が起きている地域があることに、私たちはいやがおうでも気づか
されている。加えて、最近の社会の変化は急速である。
そのような状況においては、まさに広い視野をもって考えることのできる力が必要とされる。多様な価値観のぶつかり合う、そして急速に変化する、そんな状況においても活躍できる、強靭な精神力と、確かな判断力、
しなやかな適応力、大胆に発想の転換ができる力、これこそ、リベラル・アーツ教育が育む力であろう。
1939年に女子英学塾を卒業し、日本屈指の知的リーダーとして活躍してきた社会学者の故鶴見和子氏は、「津田塾大学の英語教育は、英語を技術として学ぶのではなく、学問への通り道、文化への入門として学ぶ姿勢」
だったと、あるインタビューで語っているが、この言葉には、先に述べた理念が示されていると言えよう。
りっぱな高度専門職人になるために必要なものは、資格だけではなく、時代が変わって社会が求めるものが異なっても、それに対応できる力や生涯学び続ける姿勢だということは、卒業生の活躍・活動の分野にも示されている。
弁護士、政治家、外交官、教師などに加えて、医者、カウンセラー、音楽家、彫刻家、舞踊家など、学生として学んだ専門分野とは直接関係のない分野で活動している人、あるいはボランティアとして地域で活発に活動する人などなど、
極めて多様な分野で自分の役割を見つけて貢献しているのである。今後も、このような人間力を育む努力を続けていきたいと、私どもは考えている。
※『大学時報』 No.316 (2007年9月 日本私立大学連盟発行)に寄稿したものを、日本私立大学連盟の許諾を得て掲載しました。
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